高ストレスの場合に留意すべき関連疾患
今回は、「高ストレスの場合に留意すべき関連疾患」についてです。
2024年、厚生労働省は、働く人のストレスチェックを全事業所に義務付ける方針を固めると発表されました。
現在、従業員50人未満の事業所は努力義務ですが、業務上の負荷により精神障害となる人が増える実態を踏まえ、
労働安全衛生法を改正してメンタルヘルス対策が強化されます。
ストレスチェックを実施し、高ストレスと判定された方で、希望者には医師の面接指導を受けていただくことができます。
ストレスは、心身に様々な影響を与えるとされ、以下のような疾患が表れることがあります。
◆関連疾患とされているもの
呼吸器系 気管支喘息,過換気症候群
循環器系 本態性高血圧症,冠動脈疾患(狭心症,心筋梗塞)
消化器系 胃・十二指腸潰瘍,過敏性腸症候群,潰瘍性大腸炎,心因性嘔吐
内分泌・代謝系 単純性肥満症,糖尿病
神経・筋肉系 筋収縮性頭痛,痙性斜頚,書痙
皮膚科領域 慢性蕁麻疹,アトピー性皮膚炎,円形脱毛症
整形外科領域 慢性関節リウマチ,腰痛症
泌尿・生殖器系 夜尿症,心因性インポテンス
眼科領域 眼精疲労,本態性眼瞼痙攣
耳鼻咽喉科領域 メニエール病
歯科・口腔外科領域 顎関節症
高ストレス者と判定された労働者がいるのに放置していた場合、労働者のメンタルヘルスが低下してパフォーマンスや心身の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、
安全配慮義務違反として民事訴訟などに発展するリスクもあります。
高ストレス者が面接指導を希望しない限り、面接指導は実施されず、強制することはできません。
希望しない要因のひとつに、申し出にくい環境である可能性が考えられます。
そのため事業者側は、高ストレス者が面接指導を希望しやすい環境・体制を作ることが大事です。
例えば周りの目を気にせずに申し出ができるよう、オンラインで面接指導を申し出できる体制などを整えます。
併せて、面接を希望する際の窓口や申し込みのルートについて、社内のイントラネットなどのわかりやすい場所に案内を掲載し、周知しておきます。
高ストレス者であることで、退職推奨や配置転換など不当な扱いを受けるような不利益は生じない旨もきちんと発信し、高ストレス者が安心して申し出ができるようにしましょう。