暑さ指数(WBGT)について
今回は、「暑さ指数(WBGT)」についてです。
作業場所が熱中症のリスクが存在する暑熱環境であるかどうかを客観的に評価するためには、気温だけでなく湿度、風速、輻射熱(放射熱)、
身体作業強度、作業服の熱特性を考慮する必要がありますが、そのためにはこれらの因子をすべて考慮した暑さ指数(WBGT)を活用することが有用です。
暑さ指数(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度(単位:℃))は、暑熱環境における熱ストレスのレベルの評価を行うことにより
熱中症の発生リスクの有無をスクリーニングする指標です。
作業場所に、暑さ指数計を配備する等により、暑さ指数を求めることが望まれています。
WBGT値に応じて、作業の中止、休憩時間の確保などができるよう余裕を持った作業計画をたてましょう。
【身体作業強度等に応じたWBGT基準値】
●区分0(安静)
身体作業強度の例→安静、楽な座位
暑熱順化者のWBGT基準値→33℃
※熱に順化していない人とは、「作業する前の週に毎日熱にばく露されていなかった人」をいいます。
暑熱非順化者のWBGT基準値→32℃
●区分1(低代謝率)
身体作業強度の例→軽い手作業;手及び腕の作業;腕及び脚の作業
立位でドリル作業;フライス盤;コイル巻き;小さい電機子巻き;小さい力で駆動する機械
2.5km/h以下での平坦な場所での歩き
暑熱順化者のWBGT基準値→30℃
暑熱非順化者のWBGT基準値→29℃
●区分2(中程度代謝率)
身体作業強度の例→継続的な手及び腕の作業(釘打ち、盛土);腕及び脚の作業;腕と胴体の作業
軽量な荷車及び手押し車を押したり引いたりする;2.5km/h~5.5km/hでの平坦な場所での歩き;鍛造
暑熱順化者のWBGT基準値→28℃
暑熱非順化者のWBGT基準値→26℃
●区分3(高代謝率)
身体作業強度の例→強度の腕及び胴体の作業;重量物の運搬;ショベル作業;ハンマー作業;のこぎり作業
硬い木へのかんな掛け又はのみ作業;草刈り;掘る;5.5km/h~7km/hでの平坦な場所での歩き
重量物の荷車及び手押車を押したり引いたりする;鋳物を削る;コンクリートブロックを積む
暑熱順化者のWBGT基準値→26℃
暑熱非順化者のWBGT基準値→23℃
●区分4(極高代謝率)
身体作業強度の例→最大速度の速さでのとても激しい活動;斧を振るう;激しくシャベルを使ったり掘ったりする
階段を昇る;平坦な場所で走る;7km/h以上での平坦な場所での歩き
暑熱順化者のWBGT基準値→25℃
暑熱非順化者のWBGT基準値→20℃
WBGT基準値を超えるおそれのある場所において作業を行う場合は、熱中症対策を徹底しましょう。
次回、「衣類の組合せにより 暑さ指数に加えるべき着衣補正値」をご紹介します。
参考資料:厚生労働省「暑さ指数(WBGT)について」https://neccyusho.mhlw.go.jp/heat_index/