労働安全衛生法の新たな化学物質規制⑪
今回は、「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」についてです。
国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼり、その中には、危険性や有害性が不明な物質が多く含まれています。
化学物質を原因とする労働災害(がん等の遅発性疾病を除く。)は年間450件程度で推移しており、がん等の遅発性疾病も後を絶ちません。
これらを踏まえ、新たな化学物質規制の制度が導入されました。
■3-5 注文者が必要な措置を講じなければならない設備の範囲の拡大 【2023(令和5).4.1施行】
安衛法第31条の2の規定で、化学物質の製造・取扱設備の改造、修理、清掃等の仕事を外注する注文者は、
請負人の労働者の労働災害を防止するため、化学物質の危険性と有害性、作業において注意すべき事項、安全確保措置等を記載した文書を交付しなければならないとされています。
この措置の対象となる設備の範囲が広がり、化学設備、特定化学設備に加えて、SDS等による通知の義務対象物の製造・取扱設備も対象となります。
■4 化学物質管理の水準が一定以上の事業場の個別規制の適用除外 【2023(令和5).4.1施行】
化学物質管理の水準が一定以上であると所轄都道府県労働局長が認定した事業場は、
その認定に関する特別規則(特定化学物質障害予防規則等)について個別規制の適用を除外し、
特別規則の適用物質の管理を、事業者による自律的な管理(リスクアセスメントに基づく管理)に委ねることができます。
■5 ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和 【2023(令和5).4.1施行】
有機溶剤、特定化学物質(特別管理物質等を除く)、鉛、四アルキル鉛に関する特殊健康診断の実施頻度について、
作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合には、
事業者は、その実施頻度(通常は6月以内ごとに1回)を1年以内ごとに1回に緩和できます。
出典:厚生労働省HP 化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25984.html